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白昼夢、或いは全部勘違い

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なんで天化が突然現れた名前のない一兵士に封神されないといけなかったのか16年くらい考えた

封神演義」の話をする。

天化は突然出てきた名前のない一般兵に刺されて封神された。
本人も「この死に方は考えていなかった」と述べていた。私もだよ。

とても悲しかった。
私の知る限り漫画の主要キャラクターで1番どうでもいい最後だった。
なにが駄目だったのだろうか、考えた。

そもそも仙人になった動機が駄目だった。
父親のように天然道士になろうかとも思ったが、父親と同じ道では父親を超えることができないと思ったから。」、なんだそれ。
天然道士は取りこぼし、イレギュラーなんだから、スカウトされたんなら大人しく行きなさいよ、というのもある。
そして「父親と違う道を選ぶため」、そこに自分の意思はないのか。自我はないのか。
武蔵の森のテストに受かって桜上水中に行った水野くんかよ。意外な共通点。

うっかり怪我をしてからはますます駄目だ。
コーチがいなくなってからはますます不安定だ。
お父さんがいなくなってからはもう駄目だ。
今思うと、あの怪我をした時点で彼の死に様は決まっていたのかも知れない。
メンタル、ガッタガタ。

叔母さん、お母さん、お父さんと亡くした怒りは全部紂王に向かう。
違う、それがおかしい。
憎むべきは(あの時点では)妲己ちゃんではないのか。
紂王はちょっと馬鹿で歴史の流れに翻弄されただけの可哀想な一般の人だ。
天化では妲己ちゃんに勝てないだろう。それはもう、誰が見たってそうだろう。
仇は打ちたい、でも妲己ちゃんには勝てない、やり場のなくなった気持ちが紂王に向いてしまったのではないかと、そして紂王は贖罪のためにその筋違いな仇打ちを受けてくれたのではなかろうかと、最近ふと思った。

太公望も言っていたが、武王が紂王を打つセレモニーはどうしても必要だった。
その前に、「ただの可哀想な一般の人」である紂王にも、自分のしでかしたことを知ってもらうのも、同じくらい必要だった。
その学習材料として、「紂王に起因して身内を失った」天化が出てきたのかもしれない。遺族代表。

そして、天化をうっかり後ろから刺した一兵士。
「我が家は代々…」云々、紂王にだって支持者はいるし、誰にだってそれぞれの主義主張があり、にもかかわらずいつの間にか私の思考が「殷vs周=悪vs正義」となっていたことに気づいた。
あの一兵士の存在は、その時の歴史の流れを示す重要な役回りだった。それは当時からわかっていた。

しかしながら、紂王に勝った時点でそっとしておいてあげてほしかった。本人もそう言っていたし。
けれど、あの後の展開で彼が活躍する様があまり思いつかない。
蓬莱島で頑張れるだろうか。でも、ライトセイバー、地味だし。
置いていくには主要キャラクターでありすぎただろうし。
ついには、扱いづらい、「要らない子」になってしまったのかな、と、今は思っている。

もう16年も前のことだ。
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