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白昼夢、或いは全部勘違い

コンテンツの消費

15/3/8の日記

早朝にiPhoneのアラームが鳴るも30分程格闘の上で布団から這い出す途中、隣で寝ている夫を踏む。不可抗力である。

かろうじて顔を洗いひたすらヘアアイロンで髪の毛を伸ばしファンデーションのみ塗って予定時刻を10分オーバーして家を出る。

バスは3列シートであり、ほとんど人が乗っていなかった。私は寝る、食べる、あの娘とLINE、ブログの下書き、という大学生のようなラインナップで道中の暇を消費した。
(余談だが私のiPhonetwitterの次にバッテリーを消費しているのはブラウザではなくゲームでもなくまさかのメモ帳である。)

何県だったのか定かでないが、途中のサービスエリアで「じゃこ天」を購入して食べる。
何かしら名物を食べれる気がしなかったので、デイリーヤマザキのホットデリカで最低限のノルマをクリアした。

私は松山駅で下車したが、松山駅の手前の大通町?というバス停は三越の正面であった。松山には三越があるのか。
車中から見た松山県庁と思われる建物はレトロモダンな洋風建築で私の好みであった。いいな、あそこで働きたいな。
松山着。駅のコインロッカーの営業時間を確認。電光掲示板に不審者情報の流れる自動販売機と、5300円滞納中のコインロッカーの出迎えを受ける。

いったい松山はどうなっているんだ。

ロッカーに荷物を預けるために松山駅2階のダイソーでダサめのエコバック購入。生活用品と食べ物が多くてあまりかわいいものの売っていない広めのダイソー
松山駅1階のトイレでお化粧。松山のおばさんたちはお互いの髪形や服装を褒めあっていて女子力が高かった。

あの娘から送られてきた地図を頼りに大森さんが通っていた学校へ。
松山駅からなかなかの距離であったが、運動をかねて歩く。快晴でなければ歩いていないと思う。
行けども行けども何もない、民家、工場、たまに大きい道路、道を間違える、「天使専用門」という気の狂った構えを持つ結婚式場、スシロー、モス、ファミマ、ローソン、学習塾、ローソン、ガソリンスタンド、学校、セブンイレブン(新規オープン)。


大森さんの学校!という思いよりも先に、「うわ、これ、学校じゃん、」と思ったら具合が悪くなってきたので4分くらいで学校を後にし、最寄の伊予鉄道の駅へ、徒歩20分か30分くらい。
サロンキティのある石手川公園駅へ行こうと思い、チケットディスカウントショップの自動販売機のような券売機で切符を購入したが、今一つ乗り方が分からない。路面電車であれば乗り換えの難易度は高いはずだ。結果違ったが。
駅員さんに尋ねようと思い改札を覗くとジャージのおじさんが座っていた。本当に駅員さんなのか。ならばなぜジャージなんだ。親切であった。
松山市駅で乗り換えとのことで松山市駅で下車したが、そういえばお昼ご飯を食べていないことに気が付き駅直結の高島屋へ。
屋島のレストランにでも入ろうかと思ったが、twitterにて大森さんが「松山でうまいのはスーパーの鮨」と言っていたらしいという情報を仕入れデパ地下の太巻きを購入。先行物販の時間も発表されたので伊予鉄道の駅のホームで太巻きを食べる。実においしかった。

石手川公園で下車。
サロンキティは川沿いにあり、その日は別のメロコアっぽいバンドもライブを行っていた。
(今思うと、そのバンドの会場がサロンキティであり、大森さんの会場はキティホールだったのかもしれない)
先行物販は長蛇の列であった。時間切れで買えなかった人もいたのだろう。
物販には美人マネージャーと、おそらくキネマ倶楽部でチケットを販売していたであろう男性がいた。スタイリッシュなバナナの叩き売りのような人だ。
帰り道を思うとあまり買い込むのもなぁ、と、ナナちゃんTシャツとナナちゃんポーチとキティちゃんの鏡と処女膜再生ステッキを買った。
処女膜再生ステッキのパッケージにも使われているmajoccoさんのイラストがあしらわれた手提げ袋に入れていただいた。
グッズが大量にあるため、多数購入する人が続出するのを想定しているのだろうか。大森さんは優しい。
開場前列でさっそくステッキを点灯した。これで私の膜は再生したに違いない。2200円で一瞬だ。15万円も20分もかける必要はない。イエス!大森クリニック!

ホールに入って驚いた。映画館のような椅子が並んでいた。自由席。
私は浅ましいので、大森さんが下りてきてくれることを期待して一番通路側の席を取った。浅ましい目論見はのちに成功する。
有志によるサイリウムが配布される。聞けば花輪もご用意されたとのこと。謹んで頂戴する。
そのサイリウムを右がら左へと私に回してくれたのは、どう見てもパンクキッズのお兄さんだった。そのキーホルダー、ラババンってやつのロゴ、なんだっけ?(後日、ドラゴンアッシュと判明)
彼はどこから来て大森さんの何を好きになったのだろう。とても話してみたかったが私にそんな度量はない。

気づいたら音も出さずに大森さんがステージに立っていた。
1月17日に名古屋で見た時よりも少し髪が短くなり、色が明るくなっているような気がする。
水色のワンピース、何かがついている、近くにいらしたときによく見たらナナちゃんの布からナナちゃんをくりぬいてたくさんアップリケしたものだった。
「ナナちゃんラブラブワンピース」というものだろうか。

<前半>
KITTY'S BLUES
展覧会の絵
サマーフェア
ファンレター
子供じゃないもん17
朝+(という名前の新曲らしい)
エンドレスダン
Wonderful World End
ノスタルジックJ-POP
鮪漁船の歌
さようなら
絶対彼女
デートはやめよう
あたし天使の堪忍袋
<休憩>
二宮さんの物販紹介
大森さんのお菓子配布
<後半>
ミッドナイト清純異性交遊
Over The Party
呪いは水色
新宿
魔法が使えないなら
夏果て
お茶碗
最終公演
君と映画
料理長の音楽は豚肉の焼ける音だった
少女3号
秘め事

アンコール
PINK
キラキラ

いつだったか、松山の地図をぼんやり眺めていた時に松山で一番有名なライブハウスといえばサロンキティであることと大森さんの出身地が松山であることが私の頭の中でつながった。それ以来、サロンキティで大森さんを見る日を楽しみにしていた。
そんな安直な期待にも十分にこたえてくれるかのように、1曲目はKITTY'S BLUESであった。
サロンキティは思っていたより広くて遠くて、こんなに離れたところにいる大森さんを見ることはあまりないので目を凝らしながら次は眼鏡を持ってこようと後悔した。
ファンレター、子供じゃないもん17と初めてライブで聞く曲が続く。子供じゃないもん17は、ライブのほうが音源よりもずっと女の子のお喋りみたいでとてもかわいかった。傷つけられたい。
ろくな感想が書けない、事実を書きたい。大森さんが喋ったことでも書こう。

初めて「鮪漁船の歌」を聞いた。「友達が、彼氏がマグロ漁船に乗ってて会えないって言われたって言ってたけど瀬戸内海マグロ取れないんですよね」というお馴染みのエピソードを披露してくれたが、ライブで聞くと印象が全く違い、たまにラジオで流れてくる音質の不安定な昭和の流行歌のようだった。
大森さんが50歳くらいになったら着物を着てこれを歌っているのを聞きたい。

途中10分間の休憩が設けられる。
二宮さんの全く購買意欲がそそられないがステッキをやたらごり押しする物販紹介ののち、大森さんが「高校の同級生がお世話になった人に配んなさいってくれた」という箱菓子を客席に配布。「よく読むと松山の悪口ばかり書いてあるのに、ありがたがって名物にしたという、松山の県民性がよく表れたちょうおいしいお菓子」こと坊ちゃん団子、「母の恵の夢だよ、そりゃうまいよね」という母恵夢(ポエム)、「役所勤めの同級生がボランティアで着ぐるみの中に入っている」というみきゃんクッキーの3種を客席に下りて配り歩く大森さん。あさましくも端っこに座っていた私はきっちりみきゃんクッキーをいただいた。

「髪伸びたねー」と言ってもらった。大森さんは本当に一人一人のことをよく見ている。

後半が始まる。ナナちゃんステッキ点灯チェック。とげとげしている。「こんな性格悪そうなサイリウム見たことない!」とは大森さんの弁。とても楽しいのでお財布に余裕のある人は購入し、頭のネジが外れている人はデコレーションすることをおすすめする。

「夏果て」で、ギターのシールドをぶちっと引き抜いて客席に下りてきた。一人一人の顔を見ながら歌い歩く大森さん。
「客席を順番に眺めて」というとよく聞く話だが、大森さんのそれはほかの人とはケタが違う。しっかり目を合わせて相手の頭の中をのぞき込むようにして優しく歌ってくれる。私は口を開けてただぼんやりした顔で大森さんを眺めていたと思う。
大森さんの目線が私の隣の人に映ったから、私は大森さんのお腹あたりにアップリケされたナナちゃんを眺めていた。ふと、頭の真横にギターのヘッドがあることに気が付き慌てて頭をひっこめた。
大森さんは、身を乗り出してほぼ真ん中に座っている人とも目を合わせようとしていたのだ。だからギターは端に座っている私にほとんど迫ってきている角度だった。
ソールドアウト続出!なんて始まる前から話題のツアーの初日も、大森さんは大森さんだった。とっても大森さんだった。

一番後ろまでたどり着いた大森さんは、その場で「お茶碗」、「最終公演」と歌う。
「次何がいいー?」と投げかけられたとき、聞きたい曲はたくさんあるが声を出せたためしがほとんどない。
この流れに合う曲で私が聞きたいのは、と思うと声が出ない。大森さんが前にインタビューで言われていた、お客さんにも責任があるとはそういうことだろう。ちなみに私は「ラーメンの話」が聞きたかったが、短いのと松山でやるもんではないかな…と思い自粛した。
広島ではぜひぜひぜひぜひ「近未来」のカバーが聞きたい。

PINK、久しぶりに聞いた。松山、地元、凱旋公演、サロンキティ、PINK、
これ聞きたいんでしょ、聞かせてあげるね、っていう大森さんからの贈り物のような気がした。
いや、贈り物という意味では全部そうなんだけど、これが歌いたい!というよりこれが聞きたいんだよね、と言われているような気がした。


帰り道、乗り換えが不安でうろうろしていたら時間調整で車外にでていた運転手さんが声をかけてくれた。松山の人は優しい。
帰り道の伊予鉄道の切符を回収していた駅員さんはやっぱり私服だったので、その辺のおじさんかと思って無視しそうになった。
松山駅で鞄を回収した。5300円の延滞をしていたコインロッカーからも荷物が取り出されていたようだった。
特急いしづちからの車中、窓の外は延々と真っ暗だった。どの駅も改札の向うに迎えの人が立っていた。
そういえば私も地元の駅に帰ると母親が迎えに来てくれる。改札の向こうの柱の陰から私を眺める母親を思い出した。

大都会岡山を経て帰宅し、松山で買った海苔とウニの佃煮を食べて寝た。

好きな人が生まれた町にはなるべくなら行きたい。私の生まれ育った町に来てくれた時はなるべくなら行きたい。
ただ私が松山の土地を踏むことができたこと自体が喜ばしい。
私は自分の地元とうまく折り合いをつけることができなくて、動物園に行く以外は実家から一歩も出ないような大人になってしまったから余計に誰かの故郷に執着している。


松山で大森靖子さんを見ることができて本当によかった。ありがとうございました。

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