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白昼夢、或いは全部勘違い

コンテンツの消費

「ロックンロールは男の甘え」についての私の話

自分が女であることを過剰に意識しすぎて、ライブハウスにチャラチャラした服でくる女の子たちはみんな音楽なんか好きじゃないんだと思ってた。バンドの人に向かって、顔がかっこいいなんて口が裂けても言えなかった。
選んだ覚えはないが、メンバーには男の人しかいないバンドばかり見に行っていた。
スカスカのライブハウスに行くようになったらみんなお洒落していた。何を着たらいいかわからなかったから平日はわざといつもより堅いスーツを着ていくようになった。
目も合わせられないほど好きな音を出す人がいる。今も顔をみたことが余りない。好きになりすぎてインターネットに有る事無い事書かれたことがある。とにかく彼に申し訳がなかった。彼に嫌われないかも心配になった。好かれているわけでもないのに滑稽だった。

大森さんを見に行くようになって初めて、あ!可愛い服を買わなくちゃ!と思った。27歳になってようやくデパートでお化粧品を買えるようになった。体重は減らない。

ある日突然ぴろよさんが、大森さんの衣装とステージ装飾というかたちで私の前に現れた。
初めてお話ししてくださったのは、どうしようもない理由で週半ばの東京のオールナイトイベントに行ったときだった。無茶苦茶だった。
「本当に劣情がないので私にはゴールが見えない」と突然吐露したのに、うんうん、と聞いてくださった。

ぴろよさんの作品を見て、大学生の時、自分にだけ彼氏がいなかったころの気持ちを思い出した。
真面目な女の子ばかりの居心地の良い大学だった。初めはみんな野暮ったかった。
でも、ずっと野暮ったいのは私だけだった。疎外感が生まれた。
(とっくに結婚した今も野暮ったいのは置いておく)
このために私は疎外感を味わっていたのかと自覚し怒りが湧くとともに、怒りを抱かせて貰えたことに感謝した。

私はただの凡人なので、いろんな人が提示してくださる考え方や価値観や作品に触れながら、ああだこうだとこね回すだけの気軽な立場にいるが、
ロックンロールは男の甘え、と初めて聞いたとき、ぴろよさんの発言とは知らなかったが、ゲラゲラ笑った。

ロックンロールは男の持ち物だと思っていた。女は口にしてもいけないし聞いてもいけないし理解出来ないと思われてるんだろう、と思っていた。
ロッキンオンジャパンには、「あとは、男の子のリスナーにどれだけ信用されるか」と書かれていたことがあった。好きだったバンドの発言だった。悔しかった。
子どものころ、近所の神社のお神輿の中で一番かっこよかったものを、女だからって担がせて貰えなかったことを思い出した。
早く来た人が担げるからって最初に神社についたのに、あとからダメだと言われたときと同じ気持ちだった。

ぴろよさんの言葉は痛快だった。
ロックンロールを馬鹿にしたら男に殴られるとでも思っていたのだろうか。

好きなロックバンドはたくさんいるけれど、ほんの少し、前より思い詰めずに聞けるようになった。
余計な思い込みを一つ捨てることができた。

しかし話を冒頭に戻すと、ロックンロールが男の甘えだとしたら、それに縋って生きてきた私はなんなんだろうと思った。

なんだか惨めな気持ちになった。

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